契約彼女にした理由

想いの先には

私は学の告白をじっと聞いていた。



『飯島?でも学の名字は篠崎……?』



「葉月、気づいたか?」


「学は篠崎………?」


「そうだ。俺の母親は篠崎エレン。祖母の旧姓なんだ。祖母はアメリカ人の祖父と結婚したんだ。」


「何故、祖母の名字を?」


「母は日本で働いていた。国籍も日本とアメリカと持っていたんだ。」


「そう………、そこで飯島宗助と出逢ったって事?」


「ああ。でも飯島宗助は既に結婚していた。そして子供もいたんだ。」



学が私の頬から手を離して視線を逸らせた。怒りで拳を強く握り締める学をじっと見つめる。


学からは憎しみが伝わってくる。



「俺の親父は既婚者の上、子供もいた。なのに、俺の母親に手を出した。そして妊娠した。」


「…………。」


「つまりは愛人なんだよ。俺の母親は飯島宗助の愛人なんだよ。」



憎しみ震える学を見つめる事しか出来なかった。
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