契約彼女にした理由
「学、大学を卒業したら俺の会社で働け。」


「…………俺は嫌だ。」


「学、お前が俺を嫌いなのは知ってる。でもその事をエレンはどう思ってるか分かるか?」


「………俺には母さんの気持ちが理解できない。愛人なんて………。」


「愛人………か。確かに俺には妻も子供もいる。だが、俺はエレンを愛してる。これは嘘ではない。」



俺は目の前に座る親父を睨んだ。



「そのせいで母さんが苦労したの分かってる?勝手なんだよ。」


「苦労させたのも分かってる。」


「分かってるなら………何で子供なんて……。」


「エレンを離したくなかった。ただ、それだけだ。」



俺は立ち上がると、親父の胸ぐらを引き寄せて睨んだ。



「俺は結婚なんてしない。アンタのように女を不幸にはしない。」


「学………。」


「俺はアンタのようにはならない。」


「そうか。」



その時の親父の辛そうな顔は今でも忘れられない。



「学、会社には入れ。」
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