ダブルチェンジ
目を見合わせていた紅と碧が、再び三ノ宮に目をやると、目を見開いた。

矢を、こちらに向けて今にも放とうとしているではないか。

焦りつつも、碧は紅の前に立ちはだかり、両手を広げた。

「…殺すなら、私だけにして」
「…碧!」

「…紅、アンタは私が守るの」
「…碧は女の子なのにダメたよ!」

紅の言葉を無視して、碧は三ノ宮を睨んだ。

「…三ノ宮、あんたを見損なったわ」

「…口数の減らん女だ。私を誰だかわかって言っておるのであろうな?」

「…三ノ宮 雄也でしょ?」
「…」

碧の言葉に、三ノ宮は矢を放った。

…。

「…口ほどにもない」
「…碧?…碧‼」

その場に倒れた碧を抱き起こす紅。泣きながら、何度も名を呼ぶがそれに返事はない。

「…三ノ宮、お前」

「…勘違いするな。…どこにも矢は当たっておらぬ」
「…ぁ…」

ホッとした紅は、更に碧を抱き締めた。

「…女に守らせるとは、男の片隅にもおけんヤツだな」
「…」

碧を抱き締めたまま、三ノ宮を睨むことしかできない紅。

「…その女といい、お前といい、私を誰かと勘違いしてるようだな」

三ノ宮の言葉に、紅は困惑の表情。

そんな紅から、三ノ宮は碧を奪うと抱き上げてどこかに歩き出した。

「…あ、碧を返せ!」

三ノ宮の言葉がまだ信じられない紅は、どう対応していいか、わからずにいた。

「…案ずるな。殺しはせん」
「…」

そんな事を言われたら、なおのこと不安になるのは何故だろうかと、紅は心の中で叫んでいた。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜

総文字数/75,140

恋愛(オフィスラブ)143ページ

表紙を見る
白の悪魔と黒の天使

総文字数/7,851

恋愛(純愛)19ページ

表紙を見る
大人の恋は難しい

総文字数/1,567

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop