目を閉じてください
―――そして、最後の治療の日。
最終の診察時間の終わった仲田さんを迎えに来たのは、長身で金髪のイケメンだった。
世間で言うところの、白馬の王子様ならぬ、ベンツのイケメン王子。
もちろん髪を染めた日本人だ。
元より王子様を待ってもいなく、何より今となっては真部さんがいる私にとっては王子様でもなかったけれど。
その日、最後の患者様だったので、何の気なく下の駐車場まで見送りに来て、送迎車がベンツと分かった。
「これがワシの自慢の孫だ」
「え"っ???」
「今から食事にご一緒願えませんかな??」