目を閉じてください


***


―――思い出してはいけないことを、いや、思い出すべきではないことを思い出してしまった。


その昔。


シンちゃんの顔に、興味本意で粘土を張り付け、それこそ今で言う鑑識のような、顔の復元の真似事のようなことをしたことが一度だけあった。


こんな感じの顔になるのだろうかと。


そして出来上がったそれはもちろん私の想像で、なんてねと、すぐに剥がして拭き取って終わった。


私しか知らない顔。


そう。
―――ベンツに乗った金髪のイケメンが、それに瓜二つだった。


「……うそ……」



< 101 / 124 >

この作品をシェア

pagetop