目を閉じてください


「ちゃんとお礼言ったんでしょうね!?謝ったんでしょうね!?挨拶したんでしょうね!?」


―――翌日。


疲れた足を引きずって、骨折して足を吊られた姉の文玻の病室にお見舞いに行った私。


充分元気そうだ。


「いっぺんに言わないでよ。……すっかりお礼を言いそびれちゃったわよ」


ふて腐れる。


「真部様って!!あのビルのオーナー一族の!!すごい人なのよ!?」


「……へえ、そうなんだ」


なんなら昨日の疲れで私がベッドに横になりたいくらいだった。


「屋上にはヘリポート。最上階には会員制のラウンジから夜景の綺麗なバー。高級レストラン!!高層階はアッパーフロア。年収4000万とも言われる超イケメンの高所得者が入れ替わり立ち替わり毎晩訪れるって噂の!!」


両手を胸の前で組み、目を輝かせる文玻。



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