目を閉じてください
11


「仲咲さん、今夜お時間ありますか??」


「はっ!?あっ、はい。あるといえばありますが」


6時に診察時間は終わる。
研修はあるけれど、7時半には終わる。


「ではその後、お食事でもいかがですか??」


「えっ???いや、えっと…」


誘うなら私ではなく、婚約者の心咲さんでは。と戸惑う。
けれど、ふう、とため息をつくと、


「なぜ心咲ではなく私を、とお思いですね??その心咲のことで聞いて頂きたいことが」


慌てて顔をわたわたと押さえる。
そんなに顔に出やすいのかと。


「わかりやすいですよ??仲咲さんは。外では―――文李さんとお呼びしても??」


「えっ!?いや、あの、それは」


「『あらぬ誤解を招くので避けた方がいいですよ』??」


あくまて穏やかな笑顔で。


「わかったんなら言わないでください。もういいです。お付き合いしますが、あくまで職場の後輩の仲咲として。ですよ!?」


―――ああなんだか、嫌な予感しかしないのは、私に経験値が少ないからなのか。



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