目を閉じてください
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『BC.square.TOKYO』
東京都心のど真ん中にそびえ立つ。軽く見て50階はあるビル。
周りにも同様にそれなりのビル群が並ぶのは並んでいるけれど、軍を抜いて存在感がハンパない。
庶民は寄り付くなオーラがハンパない。
明らかに特注でデザイナーが手掛けたと思われる外壁。
入り口から豪華だ。
一応グレーのスーツ姿で、髪は後ろで束ね、お化粧は控えめに。黒のリクルートバッグで。
恐る恐る巨大なガラスの前に立つ。
「どちら様ですか??」
「いや、えっと…」
50代くらいの男性警備員に止められた。
「…あのっ、…4階の、えっと、歯医者さんに」
言いながら医院の名前を書いたメモを探す。
「歯医者??治療ですか???」
きょとんとされる。
「あっ、違います。[DENTALCLINIC Office KAYANO]に用が」
「いずれにしても部外者は入れられません。アポはお取りになってますか??」