目を閉じてください


「他の男って???文李、彼氏とか男のお友だち、いた???」


お母さんが。


「あっ、いや、それは」


言わないで、と口に出掛けたとき。


「シンちゃんのことかしら??人体骨格模型の。あれだけシンちゃん言ってたら、いつか誰かに誤解されるとは思ったけど」


ヤバい。
聞かれてた。


「じんたい………」


「ガイコツです。俗にいう」


けろっと言ってから、ハッとするお母さん。


「あああのっ!!だからって頭のおかしな子ではないんですよっ!?ほほ、ほら、お勉強のためにっ!!」


ごまかすのに必死だ。


「………遅いです、お母さん」


きっと終わりだ。
ほら、普通の人ならドン引きするところですよ。


百年の恋も冷めるところです。


私はともかく、お母さんのお友だちだか彼氏だか。


ごめんなさい。好意を持ってくださった方々。着飾って取り繕って見た目は人並みでも、我が家はこんな感じなんです。



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