甘い天秤
「凛さんたちは何を飲む?」

「取り敢えずビールでいいよね?」


また綾が返事をしてくれている。私は、それに頷きながら綾がさっき言っていた事を考えていた。


「こうなっちゃうと、凛は自分の世界に入っちゃうので、すみません。」

「いや、そんな凛さんも魅力的なのでみているだけで癒される。」


何がどうなっているのか、私の頭はパンク寸前だ。仕事の事以外で、こんなに頭がいっぱいになったのはいつ以来か…。


こうなったら考えるのをやめよう…。考えたところで簡単に答えが出るものじゃない。


そう、判断したと同時に私の元にビールがとどいた。


「じゃぁ、乾杯しましょう!」


綾の声で近くに座る人たちとグラスをならした。


「で、笹川さんはどうなんですか?」


綾がニヤニヤした顔で笹川さんに話しかけている。


「どうとは?」

「凛の事ですよ!どう思ってるんですか?」

「………その事はここでは…。」


綾はその言葉で周りを見渡した。みんな興味津々に二人の会話に耳を傾けている。


「あっ!そうですよね。すみません…。あとは、二人の事ですもんね。」

「分かって貰うとありがたいです。私は真剣なので、二人だけの時に口説きたいですから。」

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