甘い天秤
翌日、私は実家に来ていた。パーティーの話をするために呼ばれたのである。


「衣装はお父様が用意しているからね。もう、お父様ったら張り切っちゃって」


ふふふっと微笑みながら、母が父を茶化す。


「仕方ないじゃないか。自慢の娘をやっと公に出来るんだ」


母に茶化された父は、少しむくれながら言っている。そんな父と母を見て、自然と頬が緩むのを感じる。


「凛、そういえば好きな人はいないのかい?」


父からの唐突な質問に困惑する。


「えっ?突然どうしたの?」

「いや、いるならいいんだが…。凛を公にしてないが、娘がいることは知られているから、見合い話がきてるんだよ。凛が二十歳をすぎたぐらいから、そんな話が出始めて、まだ若いからと知らせる事もしなかったのだが…。最近は話が多くてね」

「そうなのよ。ちょっとお父様も困るぐらいの量でね」

そんな話、全然知らなかった。そっか…。私は、大企業の娘だもんね。出来れば、好きな人と結婚したいけど、父を困らせるならほっておけない。


「私は、凛にも好きな人と結婚してほしいからいいんだが、今でこの量だとパーティーに出席した後はもっと増えるだろうから、結婚を前提に考えている人がいるなら、パーティーに一緒に出席してもらってはどうかと思ってね」


そんな事言われても、何せ突然すぎて頭がついてこない。

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