甘い天秤
「おはようございます。お待たせしました」

「凛さん。おはよう。……とても綺麗でビックリ。……さぁ、行こうか」


笹川さんはそう言うと助手席のドアを開けてくれた。


「……はい。ありがとうございます」

笹川さんの言葉にドキドキしながら車に乗り込む。


今更ながら、車の中に二人きりの状況を考えまた緊張してきた。


そんな私をよそに、笹川さんはいつの間にか私の隣に座りエンジンをかけた。


エンジン音が聞こえてきて、心地いい音楽も鳴り出した。


「凛さん、どこか行きたいところある?」

「あっ、特にありません。お任せします」

「じゃぁ、今日は天気がいいから、少し走るけど海でもどう?」

「冬の海、静かで好きです」

「良かった。じゃぁ、行こうか」

「はい。お願いします」


静かに車が動き出す。運転している姿も格好いいなと思っていると、突然クスッと聞こえた。


「そんな見られると緊張するから」


そう言われて自分が笹川さんを凝視していた事に気づいた。


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