甘い天秤
「えっ?……すみません!格好いいなとついっ!」

「えっ?……そう?せっかくのデートだからお洒落とかしたかったんだけど、よくわからなくて……こんな感じだけど」

「いえ、十分格好いいです!」


何か焦って、気合いの入った言い方になってしまった。


「ハハッ!ありがとう。凛さんも綺麗だよ。いつも綺麗だけど……いつにも増して」

「あ、ありがとうございます……」

「そうだ!今日はプライベートなんだかり敬語はなしにしよう。呼び名も下の名前で。名字で呼ばれると、距離感じるし……」

「あ、そうですね。じゃぁ……伊織さん」

「何?凛」

「!?」

「俺も呼び方変えてみた。凛との距離、縮めたかったし。嫌だった?」


してやったりの、少年のような笑顔でそんな事を言われた。


「いえ、ビックリして。呼び捨てで呼ばれるの家族か綾ぐらいなので…」

「綾って、佐伯さんだよね。仲良いよね?もう一人一緒にいつもいる……織田くん」

「秀人くんですね。確かに仲良いです」

「なんかいいな」

「えっ?」

「いや、織田くん、凛といつも一緒で羨ましいと思って」
< 25 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop