甘い天秤
「羨ましいなんて、秀人くんにとっては私は姉の様なものだと思います……」


そう言いながら、気持ちが少し落ちていくのがわかる。
伊織さんが運転中で良かった。顔を見られていたら気づかれたかもしれない。



秀人くんを男性として意識している事を……



そうなのだ。私がおかしいんじゃないかと悩んでいたのは、同時に二人の男性が気になっているから……。


「俺は違うと思うけど……」

「え?」


いけない。考えても、まだ答えも出ないループに入るとこだった……


「いや、気にしないで。……そういえば、凛は家族と住んでいるんだよね?今日の事言ってきた?あまり遅くなるといけないし」

「あっ、私一人暮らしです。時間の事は気にしなくていいですよ」

「え?あんな立派なマンションに一人?」

「はい。あのマンションは父の個人的な持ち物で、会社には関係ないんですけど……」


しまった!ペラペラと話してしまった。案の定、笹川さんは



「え?会社?」


そこまで言っておきながら、気にしないでとは言えず、近々知られるだろうから話す事にした。

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