甘い天秤
eight
綾と二人で乗り込む。綾は無言だ。それが、余計緊張をあおる。


お互い無言のままエレベーターは39階へ到着。私が先に降り、家の扉を開け、綾に入るように促す。


リビングに入り、ソファーの前のテーブルに買ってきた物をおく。……綾はまだ声を出してくれない。私は無言に耐えられず


「綾、あの……」

「はぁぁぁぁぁ~。息、止まるかと思ったぁ~~!!」

「えっ?」

「もぉ~!!凛はどこかのお嬢様なのかなとは思っていたけど……まさか、ここまでとは…」


綾はクククッと笑いながらこんなことを言うから、私は拍子抜けしてしまった。


「綾、私と今まで通りでいてくれる?」

「は?私が友達やめるとでも思ってたの?」

「私も綾に限ってはないと思っていたんだけど……正直、自信はなかった…」

「こんな事ぐらいで、友達やめないよ!これでも、凛の事大好きなんだから!凛は凛でしょ?」


私の心は綾の言葉で魔法にかかったように、ぐるぐる巻きに絡まっていた糸がほどけて、同時に暖かいものに包まれ、自然と涙が出た。


「えっ!?泣かないでよぉ~!!」


綾は、そういって優しく抱きしめてくれた。





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