甘い天秤
心に決めたように仕事に集中し、無事プロジェクトは大成功をおさめた。


そして今日は、伊織さんと会う。緊張するけど、私の気持ちを真剣に話して分かってもらおう。


秀人くんの事はそれから考えよう。



待ち合わせのお店に行き、名前を告げると個室へ通され、すでに伊織さんが来ていた。


「遅くなって、すみません」


「大丈夫だよ。そんなに待ってないから。なに飲む?」

「あ、あの、お話があるんですけど……」

「待って、いい話ならいいけど、もし俺にとって悪い話なら食事どころじゃなくなっちゃうから……。とりあえず、今のところは楽しくご飯食べよう」


そんな事言われたら、嫌とはいえない。


「わかりました。じゃぁ、ビールを」

「よかった。ありがとう」


そして食事も進み、伊織さんが楽しく話をしてくれたので、いつの間にか笑顔で緊張も消えていた。


するとそこで、個室の扉が開いた。
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