甘い天秤
「待って!!すっ……好きなの!!秀人くんが好きなの!!」

「え?……凛さん……嘘……」


伊織さんは私と秀人くんのやり取りを見て、ニヤリと笑っている。


この人……顔の綺麗な悪魔だ…。


私の顔はこれ以上ないくらいに熱を帯びている。きっと真っ赤だろう。


「ホントだよ。私が好きなのは秀人くんだよ」


声が震えてしまったのは仕方ない。恥ずかしさと振られる怖さで、顔を上げられない。


「凛さん……。顔、上げて……俺の顔見て」


思ったより近くから秀人くんの声が聞こえた。
そろそろと顔を上げると、目の前に秀人くんがいた。


目が合った瞬間、強い力で抱きしめられた。


「えっ?」


私、振られるんじゃないの?……どういう事!?


「やっと……やっとつかまえた……。凛さん、好きです。俺だけの凛さんになって……」


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