甘い天秤
「あのね、私……経験がないの…。」

「え?……」


沈黙の時間が永遠のように感じる……。ダメだ!きちんと話さなきゃ。


「だから、私……女性としての経験が」


全部言い終わる前に強く抱きしめられた。


「はぁーーーー…。何を言われるかと思ったぁーー」


秀人くんはそういって腕を緩め、私の顔を覗きこんだ。


綺麗な瞳に捕らえられて、目をそらせない。


「凛さん……嬉しいです…。俺が、凛さんの最初で最後の男でしょ?」


秀人くんの見た事ない男らしい表情にドキッとし、今までにないくらい体が熱くなるのがわかる。


「凛さん、俺が最初の男で嬉しいですか?」


そんなの……決まってる……


「私は最初も最後も秀人くんがいい……」


私は思っていることを素直に伝える。




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