甘い天秤
「皆様。お待たせいたしました。我が長谷川建設社長、長谷川 茂よりご挨拶がございます。」


スポットライトが父に当たる。父は私と母を連れ、壇上へと上がった。

「皆様、この度はお忙しい中、長谷川建設創立記念パーティーにお越し頂きありがとうございます。今日は創立記念はもちろんの事、私事ではございますがこの場をお借りして、皆様に私の娘を紹介をさせていただきます。」


父が私をエスコートしてくれる。いよいよだ…。


「凛です。幼少の頃、ちょっとした事件がありましてそれをきっかけに、公の場から遠ざけておりましたが、娘も大人になりましたので皆様に紹介した次第です。」


ほらっ、と言われて私も挨拶をする。


「長谷川 凛と申します…。どうぞ、よろしくお願いいたします」


次の言葉が出てこない。


「ここで、重大な発表をさせていただきます」


父がそういうと、さっきまで探していた秀人が壇上に上がってきた。


「え…?」

「凛…綺麗だよ…。」


秀人はそれ以外なにも言わず私の隣に立つ。


「ODコーポレーション、織田 秀人です。本日は皆様に証人になってもらいたく、この場をお借りします」


秀人はそう言って私と向かい合う。



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