甘い天秤
公開プロポーズも終わり、壇上から降りると私達の会社の社長である秀人の父、織田 宗重さんが私たちを迎えてくれた。


「凛さん。ありがとう。秀人との結婚を決めてくれて。」

「いえ、こちらこそ…。よろしくお願いいたします」

「こんなに美しくて聡明なお嬢さんがうちのお嫁さんになるとは…。秀人、でかしたぞ!」

「親父…。ごめんな、凛…。親父は前から凛の事知っててさ…。もちろん、俺の気持ちも…。」

「お前がぐずぐずしてたから、どうなることかと思っていたが…。良かったよ!なぁ、茂」

「ホントだな…。なんだか感慨深いよ…。お前の息子と我が娘が結婚とは…。」


どうやら、秀人の父と私の父は昔からの友達のようだ。


「昔、俺たちは会社を継いで結婚したての時は、互いの子供を結婚させようなんて言ってたからな…。」

「そうだな…。夢が叶ったよ」


そんな事があったのか…。なんかこの出会いは偶然の様で必然だった気がする。


「秀人、凛…。」


懐かしい人の声に振り返る。


「兄貴…。」

「伊織さん…。」
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