甘い天秤
「おめでとう。」

「兄貴…。ありがとう。」

「伊織さん、ありがとうございます。明日、発つんですよね?」


伊織さんは海外赴任が決り、明日アメリカに発つと綾が言っていた。


「うん。そうなんだ。でも、弟の一大事だからね…。最後に顔見られて良かった…。二人とも、幸せにな」





伊織さんはそう言ってくれた。なんだか、少し寂しく感じるのは私のわがままだろうか…。


「兄貴も、あぁ言ってくれたんだから、幸せにならなきゃね」

「うん…。」

「寂しく思う気持ちは俺も同じだから…。」


秀人はなんでもお見通しのようだ…。やっぱり、二人は兄弟だな。


「うん!ありがとう。秀人」


私達なら何があっても大丈夫な気がする。

ときどき喧嘩もするだろう…。でも、お互いを思いやる心を忘れなければ、何があっても大丈夫だ。






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