甘い天秤
「はい。あまり乗り気はしないんですけど、そろそろいいだろうと父が…。今、好きな様にさせてもらってるので、断れなくて……。」


もちろん、楓さんはウチの事情を知っている、数少ないひとだ。


「お義父さまは、見せびらかしたいのょ。公には凛ちゃんが娘って事は知られていないから。」

「だとしても、慣れてないので…。」

「大丈夫ょ!私でも何とかやってるから!」

そう言われたのに、パーティーの事を思うと気分が落ち込む。


私の人生、これからどうなるのか…。覚悟ができない。


それから少し話をして、楓さんに「あっ!仕事中だった。またね!」と焦った様に言われて、私はクスッと笑い、楓さんらしいなぁと思いながら、軽い挨拶をしてお店を後にした。

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