甘い天秤
「あっ!すみません。あまりにイメージと違ったもので…。」

「え?イメージ?」

「はい。社内の女の子たちが、いろいろ話しているもので。」

「あ~。そうなんだ。」


私は失礼だったと思い、慌てて声を発した。


「あ、あの!クッキーですよね?私、ちょうど買ってきたので、よかったらどうぞ。」


袋からクッキーを取りだし、一袋差し出した。


「え?いいの?」

「はい!私、二つ買ってきたのでいいですよ。」

「おっ!嬉しい!あそこのクッキー無性に食べたくなるんだよね。」


笹川課長はそう言って、またイメージと違う少年の様な笑顔で嬉しそうに笑って、私が差し出したクッキーを受け取った。


「あ!昼休み短くなっちゃったね。引き止めてごめんね。クッキーありがとう!…そういえば、今日の飲み会、出席かな?」


「あっ、はい。」

「じゃぁ、また夜に。クッキーのお礼の相談させて。」

「いえ、お礼なんて…。」

いらないと私が言うより早く

「いや、それも口実なんだけど…。」

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