猫の飛ぶ空
結論から言おう。僕はこの時、十五年強の人生の中で用いてきた、ヒトとしての常識を捨てた。開き直った。

猫が話す時代だって事じゃないか、うん。
それでも聞かずに要られなかった。

「何で…何で喋れるの?」
「ん?私だって無口ではない。自分の意思を相手に理解してもらう為に話すこともあろう。」

カゴの中で毛繕いしていたそいつは、さも当然であるかのように宣った。

うーん、やっぱり捨てて正解だったのかしら。アレ、お姉言葉になってる。

「下らん事を質問する前に、早くお前の家に向かわんか。私は腹ぺこで背筋が延びてしまうぞ。」
「え、いや………うん。行こうか。」

とにかく家に向かおう。質問はいっぱいあるけれど、ここで聞くより家で聞いた方がいいだろう。
「じゃあ行くよ。落ちないでね。」



あれ?そういや、幻聴やら幻覚やらの可能性もあったな。幽霊って可能性もあるし………。

一体こいつは何なんだ?
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