空に散った君の瞳
*
「神様って何?」
何もかも呑み込んでしまいそうな、ぽっかりと口を開けた真っ暗な空に、淋しそうにぽつんと浮かんでいる満月の下で、いつの日か、君は僕にそう訊ねたよね。
「えっ?」
江戸川の河川敷で、ぼーっと座っていた僕は、完全に君の言葉を聞き逃した。
それを見て、君はクスッと笑った。
いや、自分の質問に笑ったのかな。
「神様って何なのかな。善良な天使なのかな……それとも残酷な悪魔?」
君の瞳が、いたずらっ子であるかの様に揺れていた。
「『神様はいるの?』とかじゃなくて?」
うん、と君は頷いた。
ふわっと甘い香りが、僕の鼻を撫でる。
「……そんなの、僕が知ってると思う?」
僕が苦笑すると、君も苦笑して
「思わない」
そう言った。
「さっき観た映画、そんなに面白かったの?」
僕は君に訊ねた。
君が観たがっていた映画だった。僕はあんまり興味がなくて、内容は殆ど思い出せなくて、そしてそれを今でも後悔しているけれど、なにかの神様が出てきた事だけは覚えてる。
うーん、と君は唸った。
「面白かったけど、なんか下らなかった」
「なにそれ、期待外れは今日食べた昼飯だけにしてよ」
そう僕が笑うと、君も笑った。
その後暫く、僕たちの間に会話は無かった。
何もかも呑み込んでしまいそうな、ぽっかりと口を開けた真っ暗な空に、淋しそうにぽつんと浮かんでいる満月の下で、いつの日か、君は僕にそう訊ねたよね。
「えっ?」
江戸川の河川敷で、ぼーっと座っていた僕は、完全に君の言葉を聞き逃した。
それを見て、君はクスッと笑った。
いや、自分の質問に笑ったのかな。
「神様って何なのかな。善良な天使なのかな……それとも残酷な悪魔?」
君の瞳が、いたずらっ子であるかの様に揺れていた。
「『神様はいるの?』とかじゃなくて?」
うん、と君は頷いた。
ふわっと甘い香りが、僕の鼻を撫でる。
「……そんなの、僕が知ってると思う?」
僕が苦笑すると、君も苦笑して
「思わない」
そう言った。
「さっき観た映画、そんなに面白かったの?」
僕は君に訊ねた。
君が観たがっていた映画だった。僕はあんまり興味がなくて、内容は殆ど思い出せなくて、そしてそれを今でも後悔しているけれど、なにかの神様が出てきた事だけは覚えてる。
うーん、と君は唸った。
「面白かったけど、なんか下らなかった」
「なにそれ、期待外れは今日食べた昼飯だけにしてよ」
そう僕が笑うと、君も笑った。
その後暫く、僕たちの間に会話は無かった。