空に散った君の瞳
でも、と僕は続けた。


「その頃には、科学技術が進歩して、人間は地球から脱出とかしているんじゃない」


「確かにそうかもね」


その君の言葉が、暗闇にぷかりと浮かんだ気がした。


そのまま黙った君に僕はおどけて言った。


「まあ、僕たちがそんな事心配したって、何億年も先の未来を変えられる訳じゃないから」


君の瞳の中の満月が細くなった。


「確かに、そんな未来の話したってしょうがないよね。明日の事すら分からないのに」


「必死に皮を守る狸もびっくりだよ」


冷ややかな暗闇に、少しだけ押し殺した笑い声が響いた。



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