ハッピーエンドじゃ終われない
ーーーーープルルルル…
深夜2時。
私の部屋に携帯の着信音が鳴り響く。
「…うん…?」
すでに床についていた私は重い瞼を開き、真っ暗の部屋の中を照らす携帯画面の光に手を伸ばす。
こんな夜中に誰だろう。
目を細めながら携帯の画面を見ると、そこには"重森京華"という文字。
京華?
私は通話ボタンを押し、受話器を耳に当てる。
「…もしもし」
『あ、香苗?夜中にごめん。寝てたかな』
私は眠い目をこすり、再び枕に頭を乗せる。
「…大丈夫。どうしたの?」
大丈夫だとは言ったが、今日は早起きだったので眠くて仕方がない。
寝かせてほしいんだけどな。
『実はさ、言いにくいんだけど…』
京華はこの前と同じように口ごもる。
「どうしたの京華。もしかしてまた誰か亡くなったとか?なんてね。不謹慎よね」
私は冗談を言って笑う。
京華も"何言ってるの"といって笑ってくれる…そう思っていたのに。
『……香苗。今から言うことは冗談じゃないから』
冗談を言って笑っている私とは裏腹に、京華は低めの静かな声でそう言う。
「…え?」
なんだかはりつめた微妙な空気が私たちの間を流れ始める。
少し間を置いてから、京華は静かに口を開く。