ハッピーエンドじゃ終われない


葬儀が始まる20分前。
私たちは会場に到着した。

「そういえば、みちるは?」

私は京華に尋ねる。

「会場前で待ち合わせてるんだけど…。あ、入り口前のあの人じゃない?」

葬儀会場と書かれた看板の隣でうずくまる黒服の女性。
あれは確かにみちるのようだ。

「みちる」

私はうずくまる女性に歩み寄り話しかけると、顔をあげた彼女の表情を見てぎょっとする。

「ちょっと、みちるどうしたの!?」

彼女は目を真っ赤にして化粧はくずれ、涙をぽろぽろ流している。

「かなえ…きょうか…」

相当目を腫らしていて、次から次へと止まることなく涙がこぼれ落ちる。

「とりあえず、うずくまってたら服が汚れるから立とう」

私と京華は、二人がかりでみちるの腕を引っ張り彼女を立たす。
よろける彼女を京華が支え、彼女はやっと立っていられる状態だった。

「みちる、何かあったの?」

私は涙を流し続ける彼女に優しく問いかける。
すると彼女は、泣きながらとぎれとぎれの言葉で話し始める。

「…の……だよ」

「え?」

彼女の声がかすれて聞き取れず、思わず私は聞き返す。
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