ハッピーエンドじゃ終われない
『やっぱり修学旅行といえば、恋バナだよね!』

睦はうつ伏せで頬杖をつきながら、楽しそうに話す。

『みんなの好きな人聞きたーい!』

みちるも睦に同意する。

『誰からいく?私が決めていい?じゃあ…香苗から!』

『え!私から?』

まさか自分からだとは思わなかったので、突然の睦からの指名に驚く。

『私好きな人なんていないよー!』

私は顔を赤らめてぶんぶんと首をふる。

『えーほんと?じゃあ気になる人とか、好みのタイプは?』

さすがにこれも”わからない”や”ない”と答えたら、のりが悪いと思われるよね…。

『そうだなあ……数学の山田(やまだ)先生とか…?』

私は色々な男性を頭の中へ思い浮かべて、無理矢理絞り出して答える。

『えー香苗ちゃん趣味悪いー』

そう言って彩女は苦い顔をする。

うっ。
まずい、チョイスミスしたかな…?
心臓の鼓動がはやくなっていくのがわかる。

昔から女の子の恋バナは苦手だった。
どうもノリがわからなくて、合わせるのにいつも必死だった。

『そう?私は山田先生わかるよ。私も年上が好きかな』

微妙な空気が流れるなか、京華はその空気を破り私をフォローしてくれる。

『京華も年上が好きなんだ!確かに年上いいよね~!関ジ○ニとか!』

『睦はいつもそれね。ジャ○ーズ好きの面食いよね』

アイドルを例にあげる睦に、彩女がつかさず突っ込みをいれる。
< 19 / 54 >

この作品をシェア

pagetop