ハッピーエンドじゃ終われない
『"彩女(あやめ)"がね…亡くなったらしいの』

突然の訃報に、私は言葉を失う。
彩女とは中学時代に同じグループにいた友人の一人で、京華もその一人だ。

「彩女って…喜多彩女(きたあやめ)のことだよね?」

『うん』

「病気とか事故で?」

『それがさ…自殺、らしいのよね』

"あの"彩女が…自殺?
そんなことが有り得るのか。

「自殺って…本当なの?」

『私も聞いたばかりで驚いているんだけど、そうらしいの。マンションの屋上から飛び降りたって…。それで今週末彩女のお葬式があるらしくて、香苗も来ない?』

彩女のお葬式か…。
せっかく誘われたし、京華も来るみたいだから参加しようかな。
まさかこんなにも早く、同級生のお葬式に参加することになるなんて思ってもみなかったけれど。

「わかった。参加するわ」

『…良かった』

私は京華にお葬式の場所と時間を聞いて、その日は電話を切った。
ベッドに寝転がりながら、中学のときの彩女とのエピソードを頭に思い巡らす。

彩女、か…

考えているうちに眠気が襲いうとうとし始める。
何か、思い出せそうなのに頭が働かない。

何だっけ…

京華と電話を終えた午前2時半。
私が眠りに落ちるのには、そう時間はかからなかった。
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