ハッピーエンドじゃ終われない
『本当にそれだけだったんだけど、黒板消しを取るときに触れた手の感触とか、その時の横顔が忘れられなくて…それからずっと気になるの』

弥生は恋する乙女の表情をする。

『いいねいいね!めっちゃきゅんとする話だね!そういう話が聞きたかったんだよね~!』

睦はかなりテンションがあがっているようだ。
他のみんなも弥生の片思いの話にときめいて、表情が和らいでいた。

『……』

とても良い雰囲気で、修学旅行の夜は恋バナに花を咲かせた。
…と思っていた。

このとき、弥生がいじめのターゲットになることは決まった。
弥生の話以降、”彼女”はずっと口を開かずに弥生を見つめていた。
そんなことは知りもせず、私はその夜ずっと笑っていた。
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