ハッピーエンドじゃ終われない
それからというもの、彩女の弥生へのいじめが始まった。
彩女と側近の睦はいじめに加勢をし、そこに時々みちるの姿を見ることもあった。

上履きや体操服をゴミ箱に捨てられる。
教科書に油性ペンで落書きをされる。
歩いていると、上から水をかけられる。

日を追うごとに弥生へのいじめはエスカレートしていく。
しかし私は彼女を助けることができず、彼女を避けるようになっていた。

”…わかってるわよね?あの子を助けたら、あんたも巻き添えだからね”

そんな彩女の言葉が頭から離れない。

私までいじめられたくない。
でも弥生を助けなきゃ。

2つの気持ちが心の中で天秤にかけられていた。
しかし自分までいじめられたくない気持ちが強くなり、天秤がそちらへ傾いて、私は弥生へのいじめを見て見ぬふりをした。

弥生、ごめんね…

私は毎日弥生への罪悪感に苛まれ、食事が喉を通らない日々が続いた。





『京華』

弥生へのいじめがはじまってから2週間ほど経った放課後。
下駄箱で靴を履き替えようとしていた彼女の背中へ声をかけた。

『香苗…』

私の顔を見ると彼女は顔を曇らせた。

『お願い、弥生を助けて!私もう見てられないの…』

私は涙を流しながら、京華の腕にしがみついて必死に訴えた。
京華なら何とかしてくれるかもしれない。
彼女はしっかりしていて、意見もはっきり言う子だ。
きっと助けて…

『…ごめん』
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