ハッピーエンドじゃ終われない
「…脅されてたんだ、彩女に」

衝撃の真実に、私は思わず言葉を失う。
脅されていた…あの京華が!?

「だから弥生を、助けられなかったんだ」

「え…脅されていたって、何で?」

京華に脅される要素なんてひとつも見当たらない。
彼女は文武両道で日頃の行いが悪いわけでもなく、むしろ正義感が強いほうだ。
そんな彼女が何故、彩女に脅されていたのか見当もつかなかった。

「…”秘密”を握られていたの」

「”秘密”…?」

「ごめん、”秘密”の内容は言えない。けどあの時弥生を助けられないって言ったのは彩女に”秘密”を握られていて、弥生を助けたらばらすって脅されていたからよ」

そんな事情があったなんて…。

人よりも正義感が強い京華。
そんな彼女がそこまでして隠したい”秘密”って一体何なのだろう。

「ごめん…。京華もあの時苦しんでいたんだよね」

京華も苦しんでいたのに気づかず、弥生も助けられないだなんて、私は本当に意気地無しだ。

「いいんだ。香苗だって、ずっと苦しんでいたんだから。あの時は助けられなくてごめんね」

「京華が謝ることなんて1つもないよ!私がもっと強くならなきゃだめなの。もう二度と、同じことを繰り返したくない…」

いまもなお心には、弥生を見捨てた後悔が古傷となって残っている。
だから今度は同じ状況になったとき、絶対に見捨てたりしない。
見捨てたら一生後悔するって、痛いほど知ったから。
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