ハッピーエンドじゃ終われない



週末になるのは一瞬だった。

大学生の夏休みは長すぎて、今日が何月何日何曜日かなんてわからなくなる。
今日がお葬式の日かどうかもわからなくなっており、朝起きてお葬式の日だと気づいたときは焦った。

私は急いで身支度を整え、家をあとにする。
会場に着くのはぎりぎりになるかもしれない。

最寄り駅から電車に乗り、ここから1時間はかかる会場へ向かう。

電車は休日なので混み合っていて、席は空いておらず立ったままつり革に掴まる。
せっかく車内は冷房がきいているというのに、人の熱気で暑苦しい。

早く着かないかな。

そんなことばかり考えていると、携帯がぶるっと震える。
携帯の画面を開くと、京華からのメールだった。

"おはよう。今日は睦(むつみ)とみちるもくるらしいから、お葬式終わったら久しぶりに集まろう"

あの二人も来るのか。
"睦"と"みちる"は京華と同様、中学で仲良くしていた子達だ。
中学時代は亡くなった彩女を中心に、睦、みちる、京華、私の5人でグループをつくっていた。

睦とみちるは違う高校へ進学したので、会うのは中学卒業以来になる。
みんな派手になっていたりして。

そんなことを考えながら、私は京華に"わかった"とメールを送信した。
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