ハッピーエンドじゃ終われない
「…みちるは、自殺じゃありません」

声をふり絞り、私は桜井刑事に告げる。

「なんだと?」

桜井刑事は立ちあがり、私を鋭い目つきで見つめる。

「君は何か知っているのか?」

私はポケットに入っている携帯を取りだし、あの夜にみちるから送られてきたメッセージの画面を開く。

「みちるは殺されたんです。みちるは私に死ぬ直前、メッセージを送ってきています。これです」

”たすけて”

そう書かれた殺風景な文面を桜井刑事の前に差し出す。
彼は私から携帯を受けとり、その文面を見て眉間にしわを寄せる。

「メッセージの受信時間は9月27日午前2時8分。ちょうど死亡時刻と重なるな」

「みちるだけじゃありません。他にも中学時代の友人が二人亡くなっています。そして3人ともこの1ヶ月の間に亡くなり、全員自殺と判断されています」

「それはおかしいな。やはり伊藤みちるは殺された…しかも連続殺人、か」

「”やはり”ってことは、桜井刑事は自殺という判断に納得がいっていなかったんですか。だからこうして現場に?」

彼は私の問いかけに首を縦にふる。

「彼女の死は不自然な点が多く、引っ掛かっていた。だから今日こうして現場を訪れて、もう一度調べようと思った。そしたら君に会い、自殺じゃないと聞かされた。伊藤みちるの携帯を調べた時には、そんなメッセージはなかった。犯人に消されたのだろう」

「あと、電話もしました」

「電話だと?直接話したのか!?」

桜井刑事は声を荒らげる。

「メッセージを見て嫌な予感がして、私から電話をしたんです。しばらく呼びだし音が続いて、出ないので諦めようとしたとき、繋がったんです。そしたら…」





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