ハッピーエンドじゃ終われない
私は自宅へ向かいながら中学時代の話、亡くなった彩女たちの話、大学での植木鉢の話、弥生の話…すべてを桜井刑事に話した。
刑事さんが隣にいるというだけで、私はとても安心でき、死の恐怖から逃れられた。

「いじめていた同級生への復讐…話を聞いている限りでは、”くわばらやよい”の犯人説は有力そうだな」

「…」

そんなこんな話している間に、私の家の前にさしかかる。

「あ…ここです」

結局帰り道では何も起こらないまま、家の前にたどり着く。

「署に帰ったら、”くわばらやよい”や亡くなった友達のことについて調べてみよう。何かわかったら、できるだけ早く連絡する。君も何かあったらすぐに連絡しなさい」

「はい。送っていただきありがとうございます。連絡待ってます」

「ああ。では失礼する」

桜井刑事は私に背を向けて歩き始める。
頼もしく堂々とした背中だった。

これで弥生の居場所がわかるかもしれない。
みんなの死の真相も、自殺か他殺かも…

桜井刑事の背中が見えなくなるまで見送ったあと、私は家の門をあけ帰路についた。
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