ハッピーエンドじゃ終われない
ーーはっ!
朝の日差しが差し込みはじめた頃、私は目をあける。
夢、か…
最近毎日、この夢ばかりを見る。
弥生に殺されそうになる夢。
いつもただひたすら薄暗い道を走り続けて、途中で何かにつまずいて、包丁をふりおろされる。
毎回同じ夢だった。
寝不足続きの日々に、私は精神的に参っている。
目覚めも悪く気分も悪い。
起きよう…
ベッドから起きあがり部屋を後にしようとしたとき、携帯電話の着信音が鳴り響く。
私はすぐにベッドのほうへ引き返し、携帯電話にかじりつく。
画面には予想通り”桜井刑事”と表示されている。
私はすぐに通話ボタンを押す。
「もしもし…っ!」
『ああ、桜井だが』
5日ぶりの桜井刑事の声に、私は胸を撫で下ろす。
「なにかわかりましたか?」
『…ああ。直接会って話したい。今から君の家まで迎えに行くから、準備して待っていてくれ』
「わかりました」
とうとう弥生の居場所、みんなの死の真相が明らかになる…。
私は覚悟を決めるとベッドから立ちあがり、部屋の扉を開けた。