ハッピーエンドじゃ終われない
「呼び出してすまない。電話でも良かったんだがな」

「いえ、私も直接お話を聞きたかったので」

桜井刑事と家の前で合流したあと、私たちは駅前のカフェに入る。
席に座ると桜井刑事はブラックコーヒー、私はアイスカフェオレを頼む。

「わかったよ、全てな。5日もかかってしまったが」

「それで…何がわかりましたか」

私はごくりと唾を飲み込む。

「まず…亡くなった三人、喜多彩女、奥山睦、伊藤みちるだが、自殺ではない」

やっぱり…
三人は自ら死を選んだ訳じゃないんだ!

「これを見てくれるか」

桜井刑事は鞄からノートパソコンを取りだし、ある映像を流し始める。
映像は真っ暗の夜の道がうつし出されている。
どこかの監視カメラの映像のようだ。
一向に同じ映像が続くので、桜井刑事にこれは何かと尋ねようとしたときだった。

「あ…」

映像が流れはじめて1分を過ぎたとき、一瞬だが誰かが道を駆け抜ける姿が映っていた。

「これ…みちるですか?」

「ああ。見てほしいのは彼女が通りすぎたあとだ」

固唾をのみ、再び映像に注目する。
するとみちるが映って消えてから3秒差で、誰かが彼女のあとを追いかける姿がうつしだされていた。

「この映像は伊藤みちるの死亡時刻の20分前に撮影された映像だ。彼女が亡くなった場所から100メートルほど離れた住宅街の監視カメラにうつっていた。誰かに追われていたようだ」

映像の人物は肩から手首にかけて白いラインが一本入った黒のパーカーに、フードを被っていたので顔はわからない。
でもここから見てわかることもある。
それは…
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