ハッピーエンドじゃ終われない
「映像の人物は確実に女だ。この体型、走り方ならば女性に違いないと言える」

「他の二人は?監視カメラに何かうつったりしていませんでしたか?」

「喜多彩女、奥山睦とこのパーカーの人物が一緒にいる姿は確認されていないが、死体が発見された現場近くで同じパーカーを着た人物が目撃されている。現場近くで聞き込みをしたら、そんな証言を得られた」

3人が亡くなった現場近くで、同じパーカーを着た人物が目撃されている。
偶然とは言いがたい。
その人物が犯人…!

「やっぱり弥生が犯人…ですか?」

私はおそるおそる尋ねる。

「…そのことなんだが」

弥生の話題にはいると桜井刑事は眉間にしわを寄せ、言葉をつまらす。

「はっきり言ってください。私はきちんと受け止めなきゃいけないんです。弥生を傷つけたことを」

弥生がこんな風になってしまったのも、私のせいだから。
もう現実から逃げるわけにはいかない。
しばらくの沈黙を守ってから、桜井刑事は口を開いた。

「犯人は、桑原弥生ではない」

「……え?」

予想外の答えに私は拍子抜けする。

「犯人は桑原弥生ではない。それは100%断言できる」

「何故ですか!?」

犯人は弥生じゃない?
でも黒いパーカーの人物は女性で、目撃されているし監視カメラにも映っている。
じゃあこのパーカーの人物は誰だと言うの?
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