ハッピーエンドじゃ終われない
「桑原弥生は、もうこの世にいないからだ」

桜井刑事の言葉を聞いた瞬間、私の頭は真っ白になる。
弥生はすでに亡くなっている。
私はその事実をすんなり受け入れることはできなかった。

「嘘…」

「本当だ。4年前…桑原弥生が高校1年生の夏に、学校の屋上から飛び降りて、自殺した」

「自殺…したんですか」

「人間関係がうまくいかなくて、追い詰められた末の自殺だったらしい」

私のせいだ。
私があのとき、いじめから助けてあげられなかったからだ。
いじめを引きずって、それで…!

一連の事件の犯人と言われるよりも、ずっと辛い真実。
ふいうちにナイフで切りつけられたように心が血だらけになるようだった。

「桑原弥生が死亡している事実から、俺は犯人までたどり着いた。犯人はおそらく、”彼女”だ」

桜井刑事の口から語られる名前に、私は言葉を失った。
そのとき、中学時代に犯した過ちがどれほど重いものかを悟った。
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