ハッピーエンドじゃ終われない
「あんたのこと、恋愛対象として好きなのよ。中学生のときからね」

え?

私は一瞬頭が真っ白になる。
京華が私のことを好き?
恋愛対象として?

その秘密を握られていたから…だから京華はあのとき彩女に逆らえないと言ったんだ。

「あーあ、香苗固まっちゃってるよ。引かれたんじゃない?」

そう言って美織は京華を見下して笑う。

「ゆる…さない…あんたのこと許さない!」

京華はそう言って泣き叫ぶ。
恨むかのような鋭い目付きで、美織をきっと睨む。

「私だって、あんたのことを許さない。弥生の痛み、知ればいい…いまここで…!」

美織は上着のポケットから光る何かを取り出す。
それが何かに気づくのが遅く、光る何かは京華の腹部を貫いていた。

「京華っ…!」

光る何かは、美織が隠し持っていた折り畳み式のナイフだった。
ナイフの刺さった腹部からは血が溢れだし、ナイフを引き抜くと京華は地面に倒れこんだ。

「京華っ!」

私は倒れこんだ京華に慌てて駆け寄る。
苦しそうな表情。
血がとめどなく流れている。

「京華!しっかりして京華!」

「京華ちゃんがこうなったのも、香苗のせいよ。香苗が弥生を助けていれば、京華ちゃんは刺されることもなかったのに」


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