ハッピーエンドじゃ終われない
「寒っ」

病院の入口を出ると、つんとした寒さが私を襲う。
そろそろマフラー要るかなあ。
そんなことを考えながら歩き始めたときだった。

誰かが、私の目の前を横切った。
それくらいの感覚しかなかった。
なのに、お腹のあたりにいきなり激痛が走った。
おそるおそる下を覗きこむと、服が血に染まり、赤黒い雫が垂れ始めている。

「あ…」

あまりの痛さに、足がおぼつかなくなり私は倒れこむ。
そのとき私は刺されたのだと確信した。

目の前には、ナイフを持った男性が冷たい目をして佇んでいる。

この人は…一度会ったことがある。
確か、弥生の…おとう…さん…

意識が朦朧とし始める。
男性の足は病院の中へと向けられる。

きょうか…きょうかを…たすけな…きゃ……

しかし体は動かない。
そんなことを思いながら、私は意識が薄れていき、そのまま途切れた。


END

< 54 / 54 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

さよならの準備はできている

総文字数/7,327

ミステリー・サスペンス16ページ

表紙を見る
彼女が指輪をはずすとき

総文字数/38,345

恋愛(オフィスラブ)66ページ

表紙を見る
恋愛境界線

総文字数/86,496

恋愛(キケン・ダーク)230ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop