暁月夜
「ここでいいです」
「了解。今日は遅くまでごめんね。また来週もよかったら来て。これはお詫び」
差し出されたチケットを有り難く受け取って鞄にしまう。
これで私は確実に来週も彼の姿を見ることができる。
お礼をいってシートベルトを外し車を降りたところでまだ名前を聞いていなかったことに気づいた。
コンコン、と小さく窓をたたくとゆっくりとそれが引き下ろされていく。
「あの、まだ名前聞いてませんでしたよね。聞いてもいいですか」