Phantom （ファントム） ～二人の陽人〜

「ドラマも映画も、オファーがどんどん来てる。アキの努力が実って来てるな。来年はもっと忙しくなるぞ。年末のこのイベントもアキにとって大切なのはわかっているが、練習時間を割けないスケジュールになると、それも難しくなって来る。そろそろ卒業を考えるか？」

先日、アキは事務所側からそう言われていた。


10代でまだ駆け出しの頃から参加していたイベント。
自分だけの作品も大切だが、仲間と部活みたいにワチャワチャ言いながら、練習に汗を流し、励まし合いながら、一つのものを創り上げて行く。
このライブがとても好きだった。

これが終わると、
「あぁ、今年も一年頑張ったなぁ」
と、達成感のようなものを感じることができたのだ。



今や、この事務所では若手のツートップと言われるようになった、ハルとアキ。

ハルも、同じように言われているのだろうか…
直接、聞いたことはないが…。

ハルも、モデルとして数々の雑誌のページを飾りつつも、ここ数年はドラマなどにもキャスティングされる事が増え、かなりのスケジュール量をこなしている。

それでも、頑張り続けているのかな。



辞めたくはない…。

この恒例行事が楽しい…
ただそれだけじゃなく、ハルの輝いている姿を間近で見ることができる。
同じものを目指し、一緒に達成感を味わうことができる。

同じ空気を共に感じ合えることがアキにとっては喜びでもあったから…。