Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


「ハル!いったい何があったんだ?!
お前、大丈‥夫‥‥」


アキは、木の幹にもたれかかるように横たわるハルの姿を見つけ、一瞬安堵の表情を見せる。

しかし、さらに駆け寄って来るとその表情はみるみる曇り、悲嘆の声を上げた。


「ハル!どうしたんだ!何でこんなことに!…
アイツか!あの化け物が!」


ハルの首筋につけられた二つの深い傷跡…。
その痛々しい傷跡からは、ハルの生きる証が流れ出ていた。

その様を見たアキの表情が、みるみる歪んで行き、喚きながら傷跡を必死に両手で押さえた。

しかし、いくら必死に押さえても、無情なほどに、それはアキの指の隙間を擦り抜け、どんどん溢れ出して行く‥。

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