Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
ハルの息は荒く、目線は、ただぼんやりと空を仰いでいた。
「ハル!…嫌‥だ…ハル!…」
アキの大きな瞳から、涙がぽろりと頬を伝った。
ハルは重そうに視線をアキに向けると、少しだけ和らいだ表情を見せた。
「アキ…。来て…くれたのか?…良かっ…た…」
「来るに決まってんだろ?どれだけ探したと思ってるんだ。心配かけやがって」
「ごめん…。でも、もう…会えない…と思ってたから…さ…。最後に…会え…て…良かった」
「最後?!何言ってんだよ!」
ハルの言葉を口では否定しながらも、目の前に晒された現実に、アキの涙は更に流れ続ける。
「…アキ…泣かない…で、ちゃんと聞いて。最期に…どうしても…伝えて…おきたいんだ…。
俺…俺は、お前を…愛して…る」