Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


ハルの息は荒く、目線は、ただぼんやりと空を仰いでいた。




「ハル!…嫌‥だ…ハル!…」

アキの大きな瞳から、涙がぽろりと頬を伝った。


ハルは重そうに視線をアキに向けると、少しだけ和らいだ表情を見せた。

「アキ…。来て…くれたのか?…良かっ…た…」

「来るに決まってんだろ?どれだけ探したと思ってるんだ。心配かけやがって」

「ごめん…。でも、もう…会えない…と思ってたから…さ…。最後に…会え…て…良かった」

「最後?!何言ってんだよ!」

ハルの言葉を口では否定しながらも、目の前に晒された現実に、アキの涙は更に流れ続ける。

「…アキ…泣かない…で、ちゃんと聞いて。最期に…どうしても…伝えて…おきたいんだ…。
俺…俺は、お前を…愛して…る」

< 121 / 228 >

この作品をシェア

pagetop