Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
「こんな時に…何をバカなこと言ってんだよ」
こんなに悲しい時にさえ、気恥ずかしさが邪魔して、アキにはまともに受け止める事ができない。
「本気‥だよ。俺は…ずっと前…から、お前が…好きだった」
…あの時、ハルが言い残した言葉は、空耳なんかじゃなかったんだ…。
ずっと抑え込んでいた想いが、アキの胸の奥からどんどん溢れ出す。
アキはハルの肩と頭を両腕で抱え上げるようにして、自分の膝の上に乗せた。
「バカ!俺も同じだよ!同じなんだ!
だから最期なんて言うな!」
「え?…アキ?…本当…に?」
「あぁ。俺もずっとお前が好きだったよ。
だけど…俺達男同士だしさ、親友のポジションさえ失うの怖くて…言えなかった」
アキは泣きじゃくりながら、心の奥底に仕舞い込んでいた想いをハルに告げた。