Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
苦し気に息も絶え絶えに話していたハルの表情が、ふと柔らかくなる。
「そっか…。そう…だった…のか。それならもっと…早く…打ち明ければ…良かったな…
そしたら…普通の…恋人みたいに、デートしたり、キスしたり…抱き合ったり…できたのにな…。
惜しいこと…したな…」
ハルは、痛みを堪えて、笑いかけた。
「バカヤロ!キスくらい、いくらでもしてやる。
だから、そんなこと言うな!」
アキは、微かに震えるハルの唇に、自分の唇を重ね合わせた。
もうそれに応える気力さえ残っていないハルの口の中に熱い息を吹き込み、
「戻って来い!」と言わんばかりに舌を絡ませた。
「うぅっ…」
ハルの呻き声に、思わずアキは唇を離す。
「ハル、ハル、ごめん!大丈夫か!」
ハルは痛みに顔を顰めながらも笑顔を作った。
「アキ…俺のこと…忘れな…いでくれよ…」
「何言ってんだ!忘れるなんてこと、ある訳ない!」