Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜


初めてハルが単独でファッション誌の表紙を飾り、巻頭数ページの特集を組まれ、発売日にそれを手に取った日のこと。

俺が初めて主演の映画が決まり、それが公開された日のこと。

お互い呼び出して祝杯をあげた。

まるで自分のことのように嬉しかった事を覚えている。
ハルも同じように言ってくれたんだ。



今、思うとスタートする場所が違ったから良かったのだろう。

畑違いの仕事だったからこそ、妬みなども感じることなく、素直に喜べていたのかも知れない。



勿論、良いことばかりではなく、挫折してヤケになったり、中傷を受け、傷つく事もあった。

お互い忙しく側にいられない時でも、電話やメールで、愚痴ったり、励まし合った。



数年前、ハルが映画の主役に、
俺がファッション誌の表紙に、抜擢された時には、
若干の戸惑いもあった。

しかし、違う場所からスタートした二人が、今は肩を並べ、隣を走っているんだと思うと、
その事実が、これからの活力になるのを感じた。

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