Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
その頃、リーダーの青木だけが、事務所の責任者に呼ばれ、残されていた。
小さな会議室に通されると、ライブのプロデューサー、ハルとアキのマネージャーもいて、深刻な顔で青木を見つめた。
「え?…行方不明…ですか?
それはどういう…」
何かの打ち合わせだと思っていた青木は、耳慣れない言葉に途端に困惑の表情になる。
「みんなに話すと動揺すると思い、話さなかったんだ。
まだ何もわかっていない状況だしね。
しかし、リーダーの青木君にだけは取り敢えず報告しておかないと…と思ってね。
昨日のイブの夜、練習が終わってから、アキくんはハルくんと待ち合わせて食事に行くって言っていたんだよね?」
「はい、昨日お電話頂いた時に話した通りです。
“ 前に仕事で世話になった人に誘われて…” と言っていましたが、それが本当かどうかはわかりません。
最近は大勢でワイワイ食事に行くことが多くて、彼らは親友ですし、たまには二人でゆっくり話したかったのかも…と思いました。
アキのことですから、僕達に気を遣ってそう言ったのかも知れません」